探し始めてから、既に一時間は経っているだろうか。

晩冬も近付いているとはいえ、夜はまだまだ冷える。
吐く息が白く染まっていくのを見届けながら、次に向かう場所を考える。

でも、あと探すところなんて――


「……壬生寺」

不意に、頭に浮かんだ場所。
――彼と、初めて出会った場所。


何となくだけど、沖田さんはそこにいるような気がして。

携帯で時刻表を検索して壬生寺道までのバスがまだ出ていることを確認し、バス停までの道のりを駆け足で進んだ。