***
「――ここにもいない、よね」
近所の公園やスーパーなど、アパート周辺をしらみつぶしで探してみたけれど、沖田さんの姿は見えない。
やっぱりもう成仏してしまったのかな。
それとも、私と関わるのが嫌になったのだろうか……。
自分で導き出した考えにぐっと胸が詰まるような感覚がして、思わず足が止まる。
……でも、それでも。
止まった足は彼を探す度に再び動き始める。
――沖田さんは、自分の姿が視える人に会えて嬉しいと言っていた。いつも穏やかな笑みを浮かべていて、でもどこか、哀愁を湛えた人。
私は、沖田さんのことが知りたい。
幽霊だからなのか、彼があの新選組の沖田総司だからなのか、理由は分からないけれど。でも、このまま彼と会えなくなるのは嫌だと、ただそう思う。