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「ただいま帰りました~……」

講義を終えて真っ直ぐに帰宅した私は、恐る恐る玄関の扉を開けた。

自分の家なのに“恐る恐る”というのも変な話だとは思うけど、自宅にあの“沖田総司”がいるなんて、緊張してしまうのも無理はないと思う。


講義が終わって直ぐ、友人に飲み行こうと誘われもしたけれど、やはり部屋で待っているであろう彼のことが気になったので断りを入れ、急いで帰ってきたのだ。

――だけど、部屋の明かりはついていないし沖田さんからの返答もないので、どうやら何処かに出掛けているらしい。

急いで帰ってきたこともあり少し残念な気がしなくもないが、それじゃあ彼が帰ってくる前に夕飯の支度をしてしまおうと思い立ちキッチンに向かう。