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「それじゃあ、私は大学に行ってきます。鍵は掛けていくので好きに外に出てもらっても大丈夫ですから」
「はい、分かりました。いってらっしゃい」
「……いってきます」
“いってらっしゃい”
久し振りに耳にした言葉。
誰かに見送ってもらうのなんて、いつ振りだろうか。
何だか変に気恥ずかしいような、嬉しいような気持ちを押し殺して“いってきます”を告げれば、沖田さんはひらひらと手を振って玄関まで見送ってくれた。
アパートを出て最寄り駅までの道を歩きながら、ちらりとアパートの方を振り向いてみる。
私の部屋があるであろう上階を見上げてみれば、背景にある雲一つない抜けるような青が眩しくて、思わず目を眇めた。