「すみません。起こしていいものか迷ったんですが、結月さん、今日は予定が入っているようだったので」
沖田さんの言葉に時計に視線を移せば、現在時刻は十時半を回ったところ。
……どれだけ眠っていたんだ私は。
今日はお昼過ぎから講義が入っているだけなので今から支度をすれば十分に間に合うだろう。しかし沖田さんには、こんな時間まで睡眠を貪るだらしがない女とでも思われたかもしれない。
「あの、起こして頂けて助かりました。すみません、こんな時間まで眠っていて……」
言葉が尻すぼみになっていくのを感じながら小さく頭を下げれば、少し慌てた様子の沖田さんに制止される。
「そんな、謝らないでください。昨日は僕のせいでゆっくり休めなかったでしょうし、疲れも溜まっていたんでしょう。僕は咎められることはあっても、謝罪されるようなことは何一つしていませんよ」