*** 「……結月さん。何から何までありがとうございます」 布団を敷いて部屋の明かりを落とせば、沖田さんがぽつりと呟いた。 静かな部屋にはよく響いたお礼に、私は目を閉じながら「どういたしまして」と言葉を返す。 ――どうか、この心優しい幽霊が無事に成仏できるようにと、願いを込めながら。 そして、これから始まる不思議な同居生活に、少しの期待を抱きながら。 夜は静かに更けていく。