いくら幽霊だからといって、二月のまだ寒さも残るこの時期に外に追い出すなんて真似したくない。

何より、今まで外にいたというなら尚のこと、室内でゆっくりと休んでもらいたい。まあ幽霊が疲れを感じるのかどうかは分からないけれど。


私の言葉に困ったように笑って人差し指で頬を掻く沖田さん。

「うーん……幽霊の僕が言うのも可笑しな話ですけど、女性が簡単に男を部屋に入れてはいけませんよ。結月さんは少し警戒心が足りない気がします」
「沖田さんは大丈夫です。だって幽霊なんですよね?」
「まあそれはそうなんですけど……正直、結月さんのその順応性にも驚きましたよ」
「はいはい、分かりました。それじゃあ布団を出すの手伝ってください。もう時間も時間ですし寝ましょう」


押し切る形で話を終わらせれば、沖田さんは折れてくれたのか「分かりました」と眉を下げて笑った。