「幽霊ってことを証明できると思うんですけど……もし差し支えなければ、僕の手に触れてみて下さい」

目の前に差し出された白くほっそりとした右手に、そっと手を伸ばす。
しかし私の手は彼の手に触れることなく空を切ってしまった。


「っ、本当に、幽霊なんですね……」

再度彼の手に触れようとするが、何度試しても彼の手をすり抜けてしまう。


「人はもちろん、命あるものには触れることができませんが、こうした物には触れることができるんです」

「不思議ですよね」と言いながら、沖田さんはテーブルに置いてあったペンを手に取った。
ペンはしっかりと沖田さんの手に握られたまま宙に浮いている。