全てを話し終えた沖田さんは、「話を聞いて頂けて嬉しかったです。ありがとうございました」と言って立ち上がった。
そのまま扉の方に足を進めてしまうので、驚きに思わず声を上げてしまう。


「え、あの!どこに行くんですか?」
「どこって……帰ります。僕が在るべき場所に」


“在るべき場所に”

そう言葉を紡いだ沖田さんの笑顔は――どこか、寂しげに見えて。
笑顔のはずなのに――私には、泣くのを我慢しているような、まるで迷子になった子どものように見えてしまって。


「あの!……私でよければ、力になります」
「っ、え?」

思わず、声を上げてしまった。