「今までは壬生寺や八木邸の周辺しか移動することはできなかったんです。ですが今日君を見かけて、気の赴くままについて行ったら……何故か、あの地から離れることができました」

沖田さんが云うには、多分沖田さんは私に“憑依(ひょうい)”している状態なのだという。

沖田さんの思いが何らかの形で私に影響を及ぼしたことによって、沖田さんはあの地から離れることができたのではないか、と。


「……すみません。勝手なことをしてしまって。迷惑を掛けることは分かっていましたが、どうしても、もう一度君に会いたいと思っていたんです。会って話をしてみたい、と。……ですから、今日君が壬生寺にきた時は驚きました」

そこで私に話しかけるタイミングを窺っているうちに家までついてきてしまい、今に至ってしまった、ということのようだ。