沖田さんはぽつりぽつりと、静かに、今自分がここに在る理由を話し始めた。

「……僕は、もうずっと昔に死んでいます。武士として最期を終えることも出来ず、病に臥せって」


――きっと自分はこの世に未練があるために成仏できないのだろう、と。

誰にも気づいてもらえないまま、一人で百年以上もの間この世を彷徨っていたのだと。自分のことが視える人物に出会ったこともあるが、話しかけると皆怖がって逃げてしまったのだと。


「昨日、君にも僕の姿が視えていることに気付いて驚きましたし……嬉しかったです。視える人に会ったのは久しぶりのことだったので」

寂しさを孕んだ笑顔に胸がぎゅっと締め付けられる感覚に襲われる。

幽霊なんて非科学的なもの、信じられないとは思うし信じたくないとも思う。
だけど、目の前の青年――沖田さんが嘘を吐いていないということは、私にも分かる。