「貴方が昨日お会いした方だということはわかりました。……それで、どういった経緯で家に?」
私からの問いに視線を手元へと落とし、思案する青年。
その表情はどこか悩んでいるようにも見えるし、葛藤しているようにも見える。
数十秒程沈黙を貫いていたが、小さく息を吐き出してからゆっくりと顔を上げた。その瞳にはどこか強い意志が感じられて、漂う重たい空気に私の背筋もピンと伸びるのを感じる。
「貴女についてきたんです。声を掛ける機会を窺っていたんですが、躊躇している間に貴女に見つかってしまったので……」
そこで一度言葉を区切ってから、青年ははっきりとした口調で、耳を疑う言葉を口にした。