「あはは……確かにそうですよね。すみません」
素直に謝罪の言葉を口にした沖田さんに、「今度から気を付けて下さいね」と注意を促しておく。
「でもまあ……沖田さんともこうやって通話できることが分かったので良かったです。これからバイトの帰りが遅くなりそうな時は、こうやって電話しますね」
「わあ、それはいいですね。ぜひお願いします」
反省の色は直ぐに鳴りを潜め、嬉しそうな声を上げる沖田さんに現金な人なんだから……と逆に感心してしまう。
沖田さんとの会話で何だか私の心まで弾んでいくのを感じながら帰路を辿る。話していればあっという間に自宅に着いてしまった。
「もう家に着いたので、切りますね」
そう一声掛けて端末を鞄に仕舞えば、玄関の扉が自動で開かれた。
「結月さん、おかえりなさい」
「沖田さん……ただいま」
笑顔で出迎えてくれる沖田さんの顔を見て――まだ彼は此処に居る、と実感できるのだ。