「先輩~最近付き合い悪いっすけど、何かありました?あ!もしかして彼氏っすか?!とうとう先輩にも春が……?!」

一人ではしゃいでいるのは、バイト先の後輩である高橋君だ。

お調子者で、バイトのシフトを変わってあげたこともよくある。
だけど何だか憎めない――そんな所が、彼の長所なのだろう。

「別にそんなんじゃないよ」
「え~、じゃあ週末のバイト仲間内のランチ、一緒に行きましょうよ!店長が奢ってくれるらしいっすよ!」
「魅力的なお誘いだけど……今回はパスで。それじゃあ私、もう帰るね」
「ええ~、そりゃないっすよ先輩~!」


不満そうな声を漏らす高橋君に手を振って、バイト先を後にする。

沖田さんには暗くなる時には連絡をするように言われていたけれど、まだ夕方で人通りも疎らにあるし――うん、大丈夫だろう。