「……貴方、昨日壬生寺にいた方、ですよね」

開口一番、まずは一番気になっていた疑問を投げかけた。
私からの問いに静かに頷く青年。

――やっぱりそうだ。
対面した時間はほんの数分だったけれど、忘れられるはずがない。

高い位置で一つに結い上げられた焦茶色の髪に、柔らかな甘さを宿した飴色の瞳。紺色の着物から覗く手は白くほっそりとしていて――本当に、綺麗な人だと思う。


目の前の青年をじっと見つめながら、思考を巡らせる。

確かに、この青年にもう一度会いたいとは思っていた。
思っていたけれど――正直、この展開は想像していなかった。