「……沖田さん、この前言いましたよね。私に、好きな人はいないのかって」

沖田さんの瞳を真っ直ぐに見つめる。
私の突然の言葉に目を丸くした沖田さんだったけれど、直ぐに相貌を崩した。


「あはは、分かっていますよ。土方さん――いえ、とし先輩が好きなんですよね」
「っ、違います!トシ先輩に対する気持ちに恋愛感情はありません。私が、私が本当に好きなのは……!」


私の否定の言葉に再び目を丸めた沖田さんだったけれど、私が思いを告げるよりも早く、沖田さんは被せるようにして言葉を紡ぐ。


「――今日は土方さんとも話して少し疲れてしまったので、先に布団に入らせてもらってもいいですか?あ、でも結月さんこれから湯浴みをしたりしますよね!それじゃあ僕、気分転換に少し散歩に行ってきますね」


一息でそれだけ告げた沖田さんは、私がこれ以上話すのを許さないとでもいうように直ぐにこの場から姿を消してしまった。