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「結月さん……本当に。本当に、すみませんでした。それに……ありがとうございます」


トシ先輩が帰って私の身体から離れた沖田さんは、開口一番に謝罪の言葉を口にした。

私が勝手にしたことなのだから謝らなくていいと言っても――沖田さんは聞かないだろう。だからその言葉は、素直に受け止めておくことにする。


「どういたしまして。トシ先輩と話してみて……どうでしたか?」

お揃いのマグカップに紅茶を注ぎながら、ソファに腰掛けている沖田さんに問い掛ける。

桃色のマグカップを手渡せば、「ありがとうございます」と礼を言って、胸の内を静かに語り始めた。


「僕は……本当は、恐かったんです。土方さんに僕という存在を否定されてしまったらと思うと、恐くて堪らなかった。土方さんの幸せを願っているなんて言いながら……僕はただ、自分が傷つくことを恐れていただけなんです」


自嘲するような薄笑い。苦しそうな表情。
トシ先輩と出会った日から、沖田さんはこんな思いをずっと抱えていたのだろう。