「……変わりませんね、土方さんは」
私の口からぽつりと、言葉が紡がれる。
「こうして貴方と話すことができて、良かったです。――ありがとうございます」
礼を述べる沖田さん。
トシ先輩の――土方さんの話を聞いて、少しでも何か感じてくれたのなら、嬉しいと思う。
「礼なら立花に言うんだな。……まあ、何かあったらいつでも頼れ。立花じゃ頼りねーだろうしな」
「ふふっ、そんなことありませんよ。結月さんにはいつも助けられています。……本当に、とても優しい人です」
自分の口から自分への賛辞の言葉が紡がれているというのも変な感じだけれど、沖田さんの思いは素直に嬉しい。
「そうかよ。だがまあ、その格好(ナリ)でんなこと言ってると、ナルシストに見えるけどな」
私と同じことを思ったのだろう、小馬鹿にしたような笑みを湛えてそんなことを言うトシ先輩。
「なるしすと……何ですか?それ」
どこか舌足らずに話す沖田さんに言葉の意味を説明しながらも、大学の話など楽しそうに語るトシ先輩。
そしてそんな話を興味津々といった様子で聞く沖田さん。
――和やかな時間は、ゆっくりと過ぎ去っていった。