「……はあ、まあ良い。おい、立花。さっさとやるぞ」
呆れ混じりの溜息を落としたトシ先輩。
「やるって……何をですか?」
そしてそんなトシ先輩の言葉に、また疑問符を浮かべる沖田さん。
重苦しい雰囲気は、トシ先輩のおかげですっかり鳴りを潜めた。
「沖田さんには、私に乗り移ってもらいたいんです。勇也くんの時みたいに」
――――そう、あの時のように私の身体を使ってもらえば、トシ先輩と話してもらうことができる。
「ですが……」と渋る様子を見せた沖田さんだったけれど、「おい、早くしろ」というトシ先輩の言葉に覚悟を決めたようだ。
「全く……土方さんはいつになってもせっかちなんだから」
そう言って苦笑いを浮かべてから、「結月さん、失礼しますね」と沖田さんが私の身体に重なった。あの時感じた不思議な感覚に包まれる。
「お久しぶりです……いえ、その姿では初めましてと言った方が良いでしょうか。――新選組一番隊組長の、沖田総司です」