“結月さん……好きな人はいますか?”
沖田さんから聞かれた時、直ぐに脳裏に浮かんだのは――。
……彼のことは好きだけれど、これは恋愛感情なんかじゃないはずだ。
――だって彼は、好きになってはいけない相手、なのだから。
もし好きになったとしても、絶対に届くことはない。触れることもできない。
――――いつか、サヨナラの日はやってくる。
自分に言い聞かせるように残っていた紅茶を一気に飲み干してから、就寝の支度をするために態と勢いをつけてソファから立ち上がった。
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