「そ、それにしてもこの猫、本当にトシ先輩に似てますよね!」
直ぐに目に入ったマグカップを見て沖田さんに同意を求めるけれど、想像していた答えは返ってこない。
「本当ですよね」なんて可笑しそうに笑う沖田さんの姿を思い浮かべていたけれど――反対に、沖田さんの纏う雰囲気は少しだけ重たくなったように感じられる。
――――数秒、沈黙が室内を支配する。
堪らずに沖田さん、と呼び掛けようとすれば――前髪に隠れて見えなくなっていた飴色の瞳が真っ直ぐに向けられた。
「結月さん……好きな人はいますか?」
「っ、え……突然どうしたんですか?」
“好きな人”
その言葉に、心臓が小さく音を立てる。
「結月さんは……土方さんを好いているんですか?」
――――だけど次に発せられた言葉に、何故かは分からないけれど……先程とは違う痛みを伴って、より大きく心臓が音を立てた。