「……っ、え?!結月さん、何で泣いてるんですか?!」

私の顔を見てギョッと目を見開いた沖田さん。
自分の頬に触れてみれば、確かに湿っている。

自分でも何故涙が出てくるのか分からないけれど、沖田さんの話を聞いていたら――何故か胸の奥からこみ上げてきたのだ。


「いや、何というか……すごく、素敵だなと思います」

そんなにも思える人がいたんだ、沖田さんには。
自分の命をかけてまで思える相手がいるなんて――月並みな言葉になってしまうけれど、凄いことだと思う。


目を丸めた沖田さんは、嬉しそうに笑った。

「ふふっ、そうですか?ありがとうございます」
「私も浅葱色、好きになりました」
「本当ですか?それは嬉しいですね。でも……結月さんには浅葱色よりも、桃色みたいな可愛らしい色の方が似合いますよ」

そう言って、本来私が使うはずだった桃色のマグカップを手にした沖田さん。

――私が可愛いと言われたわけではないけれど何だか照れ臭くなってしまって、話を変えようと咄嗟に別の話題を探してしまう。