「沖田さん……?」

呼び掛ければ、ハッとした様子で声が返ってくる。

「っ、すみません、ぼうっとしていて。それ、買っていくんですよね」
「はい。あの……良かったら沖田さんの分も買ってもいいですか?お揃いにしましょうよ」
「いいんですか?僕の分まで買ってもらって」
「はい、もちろんです」
「……ありがとうございます」


嬉しそうな笑顔を浮かべる沖田さんは――いつもの沖田さんだ。
大学に居る時からどこか様子がおかしいような気がして少し心配していたけれど、私の気のせいだったのかもしれない。


それぞれ好きな色を選んで綺麗に包んでもらったマグカップを手にし、私たちは店を後にした。