「この猫、トシ先輩に似てませんか?」
沖田さんの目の前にマグカップを掲げて小声で聞いてみる。
眉間に皺を寄せた仏頂面の猫をじっと見た沖田さんは、「……確かに、似てますね。ぷっ、そっくりだ……!」と吹き出すように笑った。
「ふふっ、ですよね!表情とかトシ先輩そっくりですし。……このマグカップ買っていこうかな」
マグカップが陳列された棚を見れば、桃色に黄色に緑色に……と沢山の色があるので、どれにしようかと目移りしてしまう。
――そうだ。折角だし、沖田さんの分も買ってお揃いにしようか。
何色が好きか聞こうと視線を向ければ、マグカップに視線を落としたままどこかぼうっとした様子の沖田さん。