***

大学からの帰り道。

人目を気にしつついつものように談笑しながら歩いていれば、目に入ったのは可愛らしい外観の小さなお店。赤い屋根に淡黄色の壁で、店先にあるプランターには色とりどりの花が植えられている。

ガラス窓から中を覗いてみれば、どうやらこの店は雑貨店のようだ。
所狭しと可愛らしい商品が並べられている。


「小間物屋でしょうか?」

隣で同じように中を覗き込んでいた沖田さんの問いに「そうみたいですね」と返しながらも、視線は店の中に釘付けだ。大学からの帰りにも偶に通る道だけれど、こんな可愛いお店があるなんて知らなかった。


「……折角ですし見ていきますか?」

沖田さんからの提案に瞬時に頷けばクスリと笑われてしまったけれど、自分でも緩んだ顔をしている自覚はあったので気にしないでおく。