「おいトシ~、立花も一応女の子なんだからさ、ちょっとは加減してやれよ」
ひか先輩、援護してくれるのは嬉しいけど、一応じゃなくて正真正銘の女の子ですからね私……!!
心中で訴えていれば、ひか先輩からの言葉もあってかトシ先輩は手を離してくれた。やっと痛みから解放されたと安堵の息を零せば、次に耳に入るのは聞き慣れた声。
「土方さんってば女性に何てことを……この鬼副長!人でなし!」
……先ほどから私の横で土方さん――つまりトシ先輩に対しての不平を並べているのは、沖田さん。
ここ最近は留守番していることが多かったけれど、今日からまた共に大学へときている。
トシ先輩と会わせることにほんの少しの杞憂もあったけれど、顔を見て直ぐに「わあ、今日も仏頂面が際立っていますね」なんて軽口を叩いている姿を見て、要らない心配だったかと脱力してしまった。
――まあ、これをトシ先輩に聞かれていたらと思うと恐ろしくて、逆に肩の力が入ってしまったけれど。