――――あの日、帰り道でも同じようなことを言っていたっけ。
土方さんの幸せを心から願っていることが伝わってくる。
あの時と同じ、真っ直ぐな言葉。
そして、あの時以上に――強い光を宿した瞳。
「沖田さんがそう言うなら……分かりました。私からはトシ先輩に何も言わないので、安心してください」
「はい、そうして頂けると助かります」
ほっと安堵の息を漏らした沖田さんは、「ありがとうございます」と感謝の言葉を口にする。
正直、私としてはトシ先輩に全て話してしまいたいと思う気持ちもあった。
前世だなんて信じ難い話でも、真剣に話せばトシ先輩なら必ず向き合ってくれる、受け止めてくれるっていう自信があったから。
だけど、沖田さんの今の言葉を聞いたら、思いを受け止めたら……やっぱり私からは何も言うことなんてできないって、痛感した。
私は――沖田さんの思いを尊重する。
それに……あの日よりも幾分か晴れやかな表情をしている沖田さんは、きっと自分で気持ちを整理することができたのだろう。
沖田さんの穏やかな表情を目にして、私のモヤモヤしていた心も少しずつ綻んでいくように感じる。