私の言葉に目を瞠って驚いた様子の沖田さんだったけれど、その口元は徐々に綻んでいき目元も柔らかに細められた。

「……ありがとうございます」


――――ここ最近は浮かない顔をしていることの多い沖田さんだったけれど、今は心から笑っているように見える。
沖田さんの嬉しそうな表情に、私も自然と笑みが零れる。


「ふふっ、沖田さん知ってますか?手が冷たい人は心が温かいらしいですよ。逆に手が温かい人は心が冷たい、なんてのも聞いたことがありますけど」
「そうなんですか?初めて聞きました。ですが……それは外れていますね」


そこで言葉を切って視線を落とした沖田さん。
釣られるように私も目線を下げれば、未だに重なり合っている手が視界に入る。

私から手を伸ばしていたことをすっかり忘れていたと慌てて手を引こうとすれば、それよりも早く沖田さんの開かれていた右手がぎゅっと閉じられた。