「すみません、急に触れてしまって。……嫌でしたか?」

黙り込んだままの私を見て気を悪くしたとでも思ったのか、沖田さんは眉尻を下げて謝罪の言葉を口にした。
思わぬ謝罪の言葉に、私の口からは存外大きな声が出てしまう。


「ち、違います!……沖田さんの手は冷たいけど、とても温かく感じます。……全然、嫌なんかじゃないです」

私からそっと手を伸ばして沖田さんの手に触れてみた。

――その手はやっぱり冷たい空気を纏っているけれど、それ以上に優しい温もりが感じられる。