「お勤めご苦労様でした」

――そこには、家で留守番しているはずの沖田さんが立っていた。


「沖田さんだったんですね……びっくりしました」
「すみません、驚かせるつもりはなかったんですが」

苦笑いを浮かべた沖田さんは、「日も落ちて暗くなったので、心配になって迎えにきちゃいました」と此処に居る理由を話す。


「わざわざ迎えにきてくれたんですか?すみません……ありがとうございます」
「いえ、ただ僕が迎えにきたかっただけですから」

「以前大学に行く時に、この場所を教えてもらっていて良かったです」と笑顔で話す沖田さんは、いつも通り紺色の着物を着ているだけで特に何も羽織ってはいない。