沖田さんの真っ直ぐな言葉から嘘偽りは感じられない。
今の言葉は、沖田さんの本心だ。それは間違いない。


……だけど。
それじゃあ、沖田さんはどうなるの?

気が遠くなってしまいそうな程の長い歳月を、一人で彷徨ってきた沖田さん。
沖田さんは、独り、未だに縛られたままだ。


――――沖田さんにとっての幸せとは何なのだろうか。


もしそれが成仏することなのだとしたら、きっとそのためにはトシ先輩の――土方歳三の存在が必要なのだと。……私はそう思う。

でも、沖田さんの思いを聞いてしまったら――土方さんへの思いを知ってしまったら、何も知らない私が口を出すことなんてできなくて。


それ以上この話について触れることはできず、滲む橙の空の下、他愛ない話をしながら肩を並べて真っ直ぐに家へと帰った。



――いつもと距離は変わらないはずなのに、沖田さんとの間に空いた数センチの幅が何故だか酷くもどかしく感じてしまって。

私は家に着くまで隣に視線を向けることができなかった。


沖田さんの笑顔に、今は同じように笑顔を返せる自信がなかったから。