「はあ、ったく……。お前はほんとに馬鹿だな」
「なっ、馬鹿とは何ですか」

溜息を吐かれたと思ったら、人の顔をまじまじと見て馬鹿と罵ってくる先輩。
抗議しようと声を上げようとすれば、それよりも先にトシ先輩が口を開いた。


「まあ、お前が纏めたレポートはよくできてたぞ。教授も褒めてた」
「えっ、本当ですか?」

予想外にお褒めの言葉を貰って、思わず驚きの声を上げてしまう。
今回は私が好きな神社や仏閣についての歴史を纏めたので、よく出来たとは自分でも思っていたけれど。

……そういえば、レポートを提出した翌日にも“よくできてたぞ”って連絡が入っていたっけ。


「ああ。流石神社仏閣娘なだけあるな」

ふっと優しく目元を細めたトシ先輩は、「だが講義の方も怠るんじゃねーぞ」と私の頭を一撫でしてから自分のデスクへと向かって行った。