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承和色(そがいろ)の扉には、銀色で縁取られた白いプレートが埋め込まれている。そこには黒い字で“日本史学研究会”と記されている。
見慣れた扉を前に、いつも通りドアノブに手を掛けてゆっくりと扉を開いた。
ぎいっと重たい音を鳴らせた扉の向こうには、よく知る顔がちらほらとある。
「おお立花くん!待ってたぞ~」
今第一声を上げたのは、このサークル――“日本史学研究会”の部長だ。
ここではその名の通り、日本史学について研究している。
自分の好きな分野についてとことん調べたり、それを仲間内で発表し合ったり……時には学会で発表したりもするけれど、基本的には緩いサークルだ。
先輩後輩関係なく仲も良いので、お菓子を摘まみながらお喋りを楽しんだりと部屋は自由に使われている。
もちろん皆が何らかの形で日本史学が好きで集まっているので、話も弾む。
とても居心地の良い仲間だと思う。