「よければ沖田さんも一緒に行きませんか?」
今日は講義はないので退屈かもしれませんけど、と付け加えて誘いの言葉を投げ掛ければ、「ぜひご一緒させてください」と賛同の言葉が返ってくる。
「さあくるに行くのは二度目ですね。あの日は噂の上役の方にはお会いできなかったので、今日はぜひ会ってみたいです」
「ふふっ、上役って……まあ上役って言えばその通りですけど」
沖田さんは、あの日レポートの提出を知らせてくれた先輩のことを言っているんだろう。
翌日仕上げたレポートをサークルに提出しに行った時は、すれ違いで会うことができなかったから。
「先輩も今日はいると思うので、会えると思いますよ」
「そうですか。それは楽しみです」
楽し気に目を細めている沖田さんは、きっと同じ新選組隊士だった土方歳三さんのことを思い出しているのだろう。
私が鬼みたいに怖いなんて言ってしまったからだろうな。まあ本当のことなのだけれど……それを本人に知られてしまったらと思うと少し恐ろしい。