――――沖田さんを初めて大学に誘った日から、数日が経過した。
沖田さんが成仏できるような手掛かりはまだ何一つ掴めていないけれど、一緒に大学に行ったり何気ない会話を楽しんだりして、特に変わりのない日々を過ごしている。
「今日も大学に行くんですか?」
「はい。今日は講義は入っていないんですけど、サークルの方に顔を出さなくちゃいけないので」
「さあくる。……ああ、あの日結月さんが遅くまで頑張っていた……書類を提出しに行った場所、ですよね?」
「あはは……はい、その通りです」
必死にレポートを仕上げていた夜の日の記憶が鮮明に浮かび上がってきて、思わず空笑いが零れる。
あの時はとにかく必死だったのだ。先輩に延々と怒られる未来を想像して身震いし、集中して完成させたレポート。目を通した先輩からお褒めの連絡を貰えた時は、内心で思わずガッツポーズを決めてしまったものだ。