ほわほわした空気を持っていて何にも考えていないようにも見えるけれど、その実周りをよく見ていて思慮深い所がある。

先程の勇也くんとの遣り取りで、沖田さんの武士としての姿が垣間見えた気がしたけれど。


「あ。そういえば、ぶらんこに乗りそびれてしまいました」

――かと思えば、幼子のような無邪気さを遺憾なく出してくるのだから、狡いなあと思う。これが俗に言う、ギャップ萌え、というやつなのだろうか。


「……それじゃあ、もう一度公園に行きましょうか。今度こそ一緒にブランコに乗りましょう」

私の言葉に嬉しそうな声を上げる沖田さんを見て、自然と口元が緩んでいくのを感じる。



刀を握る沖田さんはもちろん格好良いのだろうけれど、こうやって幼子の様に瞳をきらきらと輝かせる沖田さんを、もっとたくさん見ていきたい。笑顔を見ていたい。

先程勇也くんと対峙している時に感じた、沖田さんが“後悔”と呟いた時の胸の痛みを思い出してしまって。

――そんな思いが胸に広がるのを感じた。