「……あの、まずは謝らせてください。勝手に身体を借りてしまってすみませんでした。それに結月さんは女性なのに、配慮が足りませんでした……本当にすみません」


頭を下げて沈んだ雰囲気を醸し出す沖田さん。
自分がしてしまったことに対して相当気落ちしているみたいだ。

私はそこまで気にしてはいないけれど、まあ突然乗り移られて驚いたのも事実。
……なので、ここは少しだけ。


「そうですね。突然乗り移られて驚きましたよ。勇也くんには勘違いされるし……正直落ち込みました」

俯き気味で言えば、私の言葉に顔色をより悪くする沖田さん。

「ほ、本当にすみません……!そうですよね、いきなり憑依されたら嫌な気分になるのも当然です!ここは腹を切って償い……はできないので、あの、僕にできることなら何でもしますから……!」

予想以上に狼狽した様子の沖田さんを目にして、思わず笑いがこみ上げてしまう。


「っ、ふふっ、沖田さんってば慌て過ぎですよ!ごめんなさい、意地悪言って。全然気にしてないですよ。嫌な気分にだってなってません。……むしろ、感謝したいくらいです。私じゃ勇也くんの心を動かすことはできませんでした。沖田さんのおかげです」

「ありがとうございます」と頭を下げれば、きょとんとした表情を見せた沖田さんは肩を落として小さく嘆息する。