「みなさんこんばんはDJユージです。さあ今夜はですね、僕自身めちゃくちゃテンションが上がったメッセージがきたので一番に読ませてください。絶対みんなもすごくテンション上がると思う。ラジオネーム、キラキラさん」

 翌週の月曜日。オープニングからテンション全開なユージさんの声が響く。こういうのってすごく珍しい。いつもは落ち着いている印象が多いのに。しかし、ラジオネーム、キラキラさんという言葉が聞こえた瞬間、確かに私の体温はぶわりと1度上昇した。

「『ユージさんこんばんは。お久しぶりです。事情があってずっとメッセージを送れなかったのですが、やっと送ることができます。実は前からここで相談にのってもらっていた片思いなんですが……遂に、彼女と付き合うことが出来ました。紆余曲折ありましたが、いま、とても幸せです』

 うわああああ!キラキラさんっ!いや!ほんとに!ほんっとにおめでとうございます!いや今日だけは許してくれ!ほんっとに嬉しい!キラキラさんの恋が実って、すっげー嬉しい!!あ、まだ続きがあるんで読みますね!

『実は、彼女もこの番組の大ファンで今夜は一緒に聞いています。ユージさんやリスナーのみなさんのおかげで、今のぼくたちがあります。直接会ったことはありませんが、みなさんは僕の恩人です。本当にありがとうございます』

 ……ズッ……いや、あの……泣いてないです、泣いてないですよ。いやあの、ほんとに嬉しくて……なんかほんとに、あの……僕、番組と素晴らしいリスナーのみなさんに恵まれたなって……ズッ……泣いてませんから……!とにかく!キラキラさんっ、本当におめでとう!とりあえずここで曲!」

 ラジオからはアップテンポな曲が流れる。パーティにもぴったりなダンスナンバー。ユージさんってば、絶対泣いてた。そういう私も号泣だけど。 ああ、本当に良かった。遠回りをしたけれど、2人は一緒になれたんだ。本当におめでとう。カフェ子、それからキラキラさん。

 その後番組は、リスナーさんたちから送られてきたキラキラさんへのお祝いメッセージで溢れた。今日はキラキラさん特番だななんてユージさんは本当に幸せそうに笑っていた。 ピロンとカフェ子から写真が届く。男の人がスピーカーの前で号泣していて、その横で笑顔でピースをするカフェ子。
 この人がキラキラさん。優しそうで、あたたかそうな人だ。私にもメッセージをくれた人。大丈夫。この人ならば、必ずカフェ子を幸せにしてくれるだろう。
 祝福の音楽にメッセージ。自分のことのように嬉しそうなユージさんの声。やっぱり、この人の世界は、この人はすごい。やっぱりわたしは、ユージさんのような人になりたい。