「みなさんはじめまして!今日から新しいリポーターとしてこのコーナーを担当することになりました!」
家でのんびりとラジオを聴きながら仕事をしていたら、知らない声が流れてきて、おっと思った。最近はミッドナイトスター以外の番組も聞くようになったのが、DJヒロさんの番組もなかなかにおもしろく、タイミングがあったときには好んで聞いている。ひとつの番組の中にいくつかのコーナーやゲスト出演などもあって、ミッドナイトスターとはまた違ったおもしろさがあった。
メッセージなどは送ったことはないのだが──いや、あの一件以来、俺はユージさんの番組へもメッセージを送らなくなっていた。理由は至極簡単だ。カフェ子ちゃんに自分のラジオネームを明かしてしまったからだ。多分彼女は今でもあの番組を聴いているのだろう。あんな、告白前の大失恋をしてしまった俺は、ユージさんに聞いてほしくても、もう話すこともできない。だからと言って、ラジオネームを変えてとか、別の番組にとか、そこまでは思わない。結局、これは俺の問題で、俺が解決しなければならないものだ。
リポーターの子は、声のトーンも落ち着いていて、それでいてかわいらしさも持ち合わせている。もしかしたら、有名なパーソナリティになるかもしれないな、なんて素人ながらにヘビーリスナーとして勝手に想像してみた。そういう楽しみ方もあるのか、なんて新たなラジオの魅力を発見した気にさえなる。
「みなさん、新しいリポーターどうでしたか?まだまだ駆け出しのパーソナリティのたまごですが、あたたかく見守っていただけたら嬉しいです。それじゃ、メッセージ紹介していきます」
コーナーが終わると、DJヒロさんがそうつなぐ。こういうさり気ない気遣いとかも、いいなあと思う。ユージさんといい、ヒロさんといい、この局のパーソナリティは魅力的な人が多い。
「ラジオネームキツネ太郎さん。
『ヒロさんこんにちは。ゲストコーナーへのリクエストがあります。DJユージさんをゲストに招いてもらえませんか?ふたりの掛け合いをぜひ聞いてみたいです』
正直、何度もゲスト出演してくれないかって声をかけてはいるんですけど毎回断られます。もうこうなったら、俺があの人の番組に押しかけようかな」
DJユージとDJヒロのコラボはかなりアツい。それは絶対に聞いてみたい。それにしても、キツネ太郎さん、どの時間帯の番組でもメッセージ送っている。どんな生活をしているのだろうか。顔も知らない人なのに、やたらと気になる存在になってしまうのだから、リスナー同士というのも不思議なものだ。そういえば、最近はタピ子ちゃんのメッセージも読まれない。どうしているのだろうか。ただ読まれていないだけなのか、それともメッセージを送らなくなったのか、もしくはもう、聞くのをやめたのかもしれない。
妙な一体感とか、仲間意識なんかに近いものを勝手に抱いていたけれど、所詮俺たちは顔も本名も何も知らない赤の他人だ。直接やりとりをしたことだって、一度もない。街中で偶然出会っても、気付くことだって出来ないんだ。
そういう俺も、散々みんなに相談にのっておいてもらったくせに、現状をひとつも報告できていないのだから人のことは言えない。会ったことすらないのに、みんなに会いたい、みんなが懐かしいとすら思う自分に思わず自嘲じみた笑いがこぼれた。
家でのんびりとラジオを聴きながら仕事をしていたら、知らない声が流れてきて、おっと思った。最近はミッドナイトスター以外の番組も聞くようになったのが、DJヒロさんの番組もなかなかにおもしろく、タイミングがあったときには好んで聞いている。ひとつの番組の中にいくつかのコーナーやゲスト出演などもあって、ミッドナイトスターとはまた違ったおもしろさがあった。
メッセージなどは送ったことはないのだが──いや、あの一件以来、俺はユージさんの番組へもメッセージを送らなくなっていた。理由は至極簡単だ。カフェ子ちゃんに自分のラジオネームを明かしてしまったからだ。多分彼女は今でもあの番組を聴いているのだろう。あんな、告白前の大失恋をしてしまった俺は、ユージさんに聞いてほしくても、もう話すこともできない。だからと言って、ラジオネームを変えてとか、別の番組にとか、そこまでは思わない。結局、これは俺の問題で、俺が解決しなければならないものだ。
リポーターの子は、声のトーンも落ち着いていて、それでいてかわいらしさも持ち合わせている。もしかしたら、有名なパーソナリティになるかもしれないな、なんて素人ながらにヘビーリスナーとして勝手に想像してみた。そういう楽しみ方もあるのか、なんて新たなラジオの魅力を発見した気にさえなる。
「みなさん、新しいリポーターどうでしたか?まだまだ駆け出しのパーソナリティのたまごですが、あたたかく見守っていただけたら嬉しいです。それじゃ、メッセージ紹介していきます」
コーナーが終わると、DJヒロさんがそうつなぐ。こういうさり気ない気遣いとかも、いいなあと思う。ユージさんといい、ヒロさんといい、この局のパーソナリティは魅力的な人が多い。
「ラジオネームキツネ太郎さん。
『ヒロさんこんにちは。ゲストコーナーへのリクエストがあります。DJユージさんをゲストに招いてもらえませんか?ふたりの掛け合いをぜひ聞いてみたいです』
正直、何度もゲスト出演してくれないかって声をかけてはいるんですけど毎回断られます。もうこうなったら、俺があの人の番組に押しかけようかな」
DJユージとDJヒロのコラボはかなりアツい。それは絶対に聞いてみたい。それにしても、キツネ太郎さん、どの時間帯の番組でもメッセージ送っている。どんな生活をしているのだろうか。顔も知らない人なのに、やたらと気になる存在になってしまうのだから、リスナー同士というのも不思議なものだ。そういえば、最近はタピ子ちゃんのメッセージも読まれない。どうしているのだろうか。ただ読まれていないだけなのか、それともメッセージを送らなくなったのか、もしくはもう、聞くのをやめたのかもしれない。
妙な一体感とか、仲間意識なんかに近いものを勝手に抱いていたけれど、所詮俺たちは顔も本名も何も知らない赤の他人だ。直接やりとりをしたことだって、一度もない。街中で偶然出会っても、気付くことだって出来ないんだ。
そういう俺も、散々みんなに相談にのっておいてもらったくせに、現状をひとつも報告できていないのだから人のことは言えない。会ったことすらないのに、みんなに会いたい、みんなが懐かしいとすら思う自分に思わず自嘲じみた笑いがこぼれた。