「今日、どうだった?ユージさん。友達、喜んでた?」

 話題を今日のラジオ番組にうつすと、彼女は顔をぱっとあげて、瞳をキラキラと輝かす。

「はいっ!ユージさん、すっごくすっごく素敵でした!いつもメッセージ送っているリスナーさんたちも何人か会場にいたみたいで!なんかこう、ユージさんとリスナーさんとの繋がりみたいのを直接感じられて!もう本当感動でした。しかもなんと私の友達がユージさ……」

 機関銃のようにしゃべっていた彼女が途中ではっとした顔で両手で口をおさえた。ん?なんだ?

「……とにかく、すごく素敵でした。ありがとうございました。本当にありがとうございました」

 そう言ってからぺこっと頭を下げた。どうやら楽しかったのは間違いがないようだ。よかった。こんなに喜んでもらえて、この笑顔が見られるのなら、俺はもうそれだけで十分だ。けれど、ふっと彼女の表情が曇ったような気がした。

「あとこれ、よかったらもらってください」

 そう言って彼女が小さなカバンから取り出したのは、ミッドナイトスターと書かれた赤いステッカー。

「来場者特典で、1枚ずつもらえたんです」

 すっとテーブルの上をそのステッカーが滑る。彼女の表情は笑顔なのになぜだか泣きそうに見えるのは、俺の勘違いだろうか。

「いやいやいいよ。今日の思い出に持っていなよ。俺は大丈夫だから」

 すると彼女は俺の手をぎゅっと掴んで引き寄せると、手のひらにぐっとそれを置く。

「絶対に星倉さんに──いえ、キラキラさんに、渡したかったんです」

 何か決意が込められたような声に、驚いて彼女の顔を見つめる。すると、彼女は下を向いて言ったのだ。

「わたし、応援します。キラキラさんの恋がうまくいくよう、応援します。ラジオで相談されていた相手って、うちのスタッフですよね?もしかして、チーフですか……?」

 ああ。彼女は勘違いをしているのか。俺が他のスタッフが好きだと。違うよ。違う違う。俺がすきなのはさ──
 口を開こうとしたときだった。

「キラキラさんの恋が叶うよう、わたし、精いっぱい協力します。チーフと星倉さん、お似合いだと思います」