紹介されたカフェ子さんからのメッセージが終わる頃、俺は立ち上がってスピーカーに向かって前のめりになっていた。

 今のって……今のって!!ラジオネーム、カフェ子さん!!

 俺の行きつけの店──つまり彼女が働く店は──お洒落なカフェだ。いつも俺はアイスカフェモカを注文する。テイクアウトの客には、注文間違えがないよう、ドリンク名や常連になると名前を書いてくれるサービスがある。彼女は、俺を常連として認識した時に、カップに書くため名前を聞いてくれたんだ。

「名前、教えてもらえますか?」
「星倉です。名前は、星倉です!!」

 あの時のことが鮮明に蘇る。あれから彼女は毎回俺の名前とメッセージをカップに書いてくれて、そして──。
 俺は急いで綺麗に洗ったカップを手にとり、はやる気持ちを抑えられないままスマホをタップした。いまは生放送中だから、電話はだめだ。

 よし、と自分に喝を入れて、想いを指先へのせていく。考える暇なんかなかった。とにかく、思うままに、指を滑らせる。

『カフェ子さん、電波に乗ったメッセージ、きちんと受け取りました。友達は喜んでる?きみは、楽しんでる?
 早速ですが、この間の誘いのことなんだけど。ものすごく急だけど今日この生放送が終わった後は空いていますか?いますぐにでも話したいことがあるんだ。返事待っています。ラジオネーム キラキラ』

 送信ボタンをタップすれば、そのメッセージは電波に乗って彼女のもとへ。

 いますぐにでも、伝えたい。伝えたい気持ちは、伝えたいと思った時に、伝えるべきだと思うんだ。

 この想いよ、きみにとどけ。