私が初めてユージさんの声を聞いたのは、今から3年ほど前に遡る。あの夜、好きだったロックバンドがラジオ番組にゲスト出演するとのことで、スマホでラジオが聴けるというアプリをダウンロードしたのがすべての始まりだった。ラジオというものの仕組みも何も分かっていなかった私は、どのチャンネルに合わせれば目当ての番組に繋がるのかも分からずとりあえず画面に表示される様々な局のアイコンをタップしていた。
 オンエア時間まであと1分。半分泣きそうになっていた時だった。柔らかな声が鼓膜を揺らした。

「みなさんこんばんは。月曜の夜、いかがお過ごしでしょうか。DJユージです」

 一目惚れだった。──いや、正確には見たわけではないので、一聞惚れとでも言ったほうがいいのかもしれない。ユージさんの声を聞いた瞬間、私は全てのことを忘れ、ただただ彼の紡ぎだす言葉の世界に引き込まれていったのだ。

 これが、一方的ではあるけれどユージさんとの出会いだ。結局その夜はもともと目当てにしていたロックバンドのラジオではなく、ユージさんの番組を2時間たっぷりと聴いて過ごした。
 後々調べて分かったことなのだが、この番組は林さんという超大御所パーソナリティの人気生放送番組。この日は林さんがインフルエンザになってしまったため、急遽DJユージが代打で番組をまわしたということだった。新星のごとく現れた新人パーソナリティに、ファンたちも大騒ぎした。──というのは、ユージさんのことを色々と調べている中で知った事実だ。

 当時、まだ無名だった彼は担当番組などもちろん持っておらず、情報を得ることも難しかった。さらに彼はブログなどのSNS活動は一切行っておらず、私が出来ることはひたすらにラジオの番組表やHPに彼の名前が載っていないかをチェックすることくらいだった。

 DJユージの声を聞けるのは、ごくたまにイレギュラーでピンチヒッターとして番組を担当する──このパターンは非常に稀だ。わたしも2度しか聞いたことがない──か、番組内のコーナーでリポーターをするときくらい。それでも、少しでもユージさんが出演するときには必ず番組を聴くようにしていた。
 そんな風に、小さな下積みを重ねたユージさんが、とうとうメインパーソナリティとして番組を持つことになったのはこの春のことだ。

 それが、毎週月曜日深夜0時30分からの1時間番組。DJユージのミッドナイトスター!