「名前、教えてもらえますか?」

 笑顔の彼女にそう言われて、頭がパァンとスパークした。いやいや、これもきっと、いや絶対、サービスの一環だ。過度に期待するな。それなのに、頬が緩むのをどうすることも出来ない。

「……星倉です。名前は、星倉です!」

 彼女はにこっと白い歯を見せて笑うと、カップにペンを走らせた。

「お待たせしました」

 彼女の小さな手から渡されたドリンク。そのカップには“星倉さん、いつもありがとうございます”。注文したドリンクの名前とメッセージ、そしてほしのマークが彼女のかわいらしい文字で描かれていた。ああどうも、なんて余裕のある大人のふりをしながらそれを受け取ったけれど、後ろを向けば、胸の前で小さくガッツポーズを握ってしまう。

 ユージさん。今夜必ずメッセージを送るから。絶対に、絶対に読んでくれよ。この喜びをさ、ユージさんと、リスナーのみんなと分かち合いたいんだ。