ラジオにメッセージを送ったことなんて今までなかった。むしろラジオ自体あまり聞く方でもなかったんだ。それじゃあどうやってミッドナイトスターと出会ったかって?仕事終わり、真夜中に運転していたときにいつも聞いてた音楽に飽きて、なんとなくラジオを聞いてみた。そのときにたまたまやっていた番組が、DJユージのミッドナイトスター。たったそれだけのことだ。
 出会いというものは、そういった偶然が積み重なり必然となっていくものだと俺は思う。人との出会いも、ものとの出会いも。

 まず、流れてくる音楽のセンスがいいなと思った。知らない外国の曲なんかもばんばん流れてきたけれど、どれも俺の好みの曲だった。それから、パーソナリティの声がよかった。ほどよく落ち着いていて、ほどよくユーモアもあって。集中して聴くというよりは、なにかをしながら流すのにちょうどいいような。そう、BGMに適しているっていうのかな。話しているのに、何か作業をしていても邪魔にならない。むしろ、居心地のいい空気感。それはつまり、仕事を終えて深夜の高速道路を集中して運転しなければいけない俺にはちょうどいいという、そういうことだ。
 しかもこの番組は生放送。生放送というのもぐっと来た。今この瞬間、どこかで誰かがリアルタイムで話していることや考えていることが伝わってくるということだから。

 自分の書いたものが、電波にのってたくさんの人のところに届くって、どんな気持ちなんだろうかと、紹介されるメッセージに笑っている時にふと思った。どんな気持ちでリスナーはメッセージを送り、読まれたらどんな気持ちで、このパーソナリティはどんな想いを持って電波に声をのせるのだろう。俺には到底イメージさえつかない。
 俺は電波とは無関係で生きているただのサラリーマンだ。テレビだとかメディアだとか、そういうものにも敏感な方ではないし、芸能人だってあまり知らない。そんな俺にとってそれはまるで、別世界の話じゃないか。

 そんな風に思っていたのに、どういう風の吹き回しか。聴いているうちに、俺がいるこの世界と、DJユージがいる世界と、彼が読み上げるリスナーの生きている世界は、同じなんじゃないかと思うようになっていた。