「お飲物はいかがなさいますか?」
「抹茶味の何かってありますか」
「抹茶……、そうですね、緑茶が一番近いかもしれません」
「じゃあそれで」

 思わず抹茶味の何か、なんて言葉が飛び出して、自分でも苦笑してしまう。出来ればもちろん、抹茶ミルクタピオカが良いんだけど。そしてそれは、タピちゃんが作ってくれたものがいい。もちろんそんなの、無理な話だ。

 タピちゃんは、無事にヒロたちと合流出来ただろうか。急な頼みごとをするなんて申し訳ないと思ったものの、どうしてもあの場にひとり残すことが出来なかった。きっと彼女は泣くのだろう。申し訳ないのを承知で、信頼できるヒロに連絡をした。予想通り、ヒロは彼女と出かけていたらしかったけれど、電話で事情を話せばふたつ返事で了承してくれたのだった。

『俺と一緒に来る──?』

 我ながら、よくあんな言葉が出てきたと思う。まるで映画やドラマじゃないか。だけどあの時は無意識だったんだ。体が勝手に動いて彼女を抱きしめていた。頭で考える前に、口が動いた。本気で思った。連れ去ってしまおうかと。

 シートベルトのサインが消えたあと、機内WIFIが使用できる旨のアナウンスが流れて座席でノートパソコンを開く。ネットワークをつなげば、メールが届いていた。差出人はJohn。彼はアメリカの有名なシンガーで、今アシスタントをさせてもらっている番組のメインパーソナリティでもあった。もともと俺は彼の大ファンだった。そんなすごい人と今では一緒に番組をやっているというのだから、人生は何が起こるか分からない。メールの内容は明日の番組についての簡単な流れと、無事にガールフレンドには会えたのかという旨だった。番組はまかせろ、と言ってくれたJohnの笑顔が脳裏に浮かんだ。