DJユージにゲスト出演のオファーを送ったのはこの俺だ。面識はなかったものの、新生ミッドナイトスターのディレクターとして入手したメール宛に連絡を入れ、彼の出演は決まった。メールの先のDJユージは丁寧で謙虚な人間だった。『こんな僕でよろしければ、喜んで出演させていただきます』と、こちらからお願いしているにも関わらず、そんな返事が来た。
 そしてもうひとつ、俺から彼に、そしてプロデューサーにお願いしたことがあった。DJユージのゲスト出演は、タピ子を含め、誰にも口外しないでほしいと。

 タピ子はもう十分にどこでも通用するパーソナリティだ。だからこそ、ゲストの存在を伝えなくても大丈夫だろうとそう思った。いやむしろ、最初から知っていたら彼女は戸惑うかもしれない。いつものタピ子らしさが番組で出ないかもしれない。そんなことも思ったのは事実だ。それでも、サプライズゲストの登場で彼女が放送事故を起こすわけがないという自信があった。あいつなら大丈夫。絶対に大丈夫。
 その確信は現実となった。タピ子は動揺を物ともせず、堂々と憧れの人との共演を果たした。対等なトーク、引けを取らない返し、あくまでも番組のメインパーソナリティはタピ子で、ゲストはDJユージだった。立派だった。そして、誇らしかった。俺のパートナーのDJタピーは、すごいだろって。かっこいいだろって。すごく、すごく誇らしかったんだ。