『ユージさん、現在はアメリカでどういった活躍をされているんですか?』
『今は音楽を学んでいます。あと現地のラジオ局でアシスタントパーソナリティとして少し出演したりしてますね』
『向こうへ行って一年で担当番組なんてすごいですよね!さすがユージさん!』
『ははは。それ言うならDJタピーだって同じでしょ?こんな短いスパンで担当番組持っちゃって。エリートだね!』
『担当番組って言っても、もともとの人気番組ですからね。本当に私なんかでいいのかなって今もドキドキしてますよ。まあでも、やりますよ。あの頃もよかったけど今のミッドナイトスターも最高!ってみなさんに思ってもらえるように頑張りますよ』
『おー頼もしいね。俺も向こうからメッセージ送ろうかな』
『それいいですね!ラジオネームどうしますか?』
『あ、僕ラジオネームもう持ってるんですよ。でも秘密です。正体が分からないからおもしろいってもんでしょ』
『……まあ、そういうものなのかもしれないですね。私もタピーというこの名前もラジオネームから来てますし』
『そうそう。今じゃリスナーのみんなからも、タピ子タピ子ってね、言われてるもんね』
『覚えやすいのと呼びやすいみたいで』
『でもね、ひとつ言わせてもらっていい?』
『はい』
『タピちゃんは、タピ子じゃないから』
『え?今更何ですか?』
『タピ・オカ子だから。タピ子じゃなくて、オカ子なんだよ!みんな!』
『ええーっ!そこですか?まあそうなんですけどね。もとはね、たしかにそうだったんですけどね。っていうかそこ気にします?』
『当たり前だよ。タピちゃんの名前は、俺がつけたんだから。──というわけで、ここで僕から一曲!』
DJユージさんの軽快な曲紹介で、おしゃれな曲が流れる。相変わらず、センスは抜群だ。
「ねえ今のって……」
「タピちゃんすごいね!DJユージさんと息ぴったりのトークしてるじゃん」
曲が流れてくるスピーカーをじっと見つめながら、彼女は小さくつぶやいた。
「今のって、すっごく、すっごく”俺の”っていう風に聞こえた」
「……え?」
流れてきた曲は優しくおしゃれなメロディだ。英語の歌詞は分からないけど、サビのフレーズだけはなんとなく聞き取ることが出来る。どういう意味なのか分からないけど、だけど、優しく甘い響きだ。
" Baby, you complete me."