友達もいない。
梶先生もいない。

おみやげは買ったし、やることのなくなった私は川沿いの土手に座った。

よく見ればまわりはカップルだらけ。高校の制服を着た自分は何だかとても子どもに見える。

──図々しいことしないでくれる?

麻紗美に言われた言葉が頭の中をぐるぐるして嫌な気分になった。

みんな梶先生が好きなんだなぁ。
でも私はファンではなくて本気で梶先生のことが好きなんだけど。
伝わらないなぁ。

もしかして麻紗美も本気で好きなのかな?
梶先生、かっこいいもんね。
なんて罪作りな先生なんだ。

「はぁー」

私は空を仰いだ。

麻紗美に嫌われたし、班行動も置いていかれてしまうし、一体私は何をやっているんだろう。

虚しい気持ちで押し潰されそうになる。心はモヤモヤと灰色なのに空はとても晴れ晴れとしていた。