三年生のメイン行事といえば修学旅行だ。

新幹線の乗り場でも、新幹線車内でも、私は隙あらば梶先生に近づいた。

「先生~、一緒に写真撮りましょう!」

こんな時くらいしかお願い聞いてもらえないもの。

美結にカメラをお願いして梶先生とのツーショット写真を撮ってもらった。

「一生の宝物にする!」

「あはは、大げさ~」

美結は呆れたように笑った。

今日は班行動の日だ。
あらかじめ計画した予定に沿って、市内の主要施設を巡る。パラパラとしおりを捲っていると、目の前に影ができて私は顔を上げた。

「杉浦さん、梶先生はみんなのものなんだから、一人だけ図々しいことしないでくれる?」

同じ班の麻紗美が睨みを効かせて立っている。

「え、図々しいって……」

「梶先生を好きなのは貴方だけじゃないってこと。抜け駆けしないで」

キッと睨みつけられ、その迫力に私は言い返すことができずに唇を咬んだ。

麻紗美も梶先生のことが好きなんだろうか。
思わぬライバル出現だ。