『な、なぁに?お姉ちゃん…』
ゆいかちゃんは、返事する。
久しぶりに名前を呼ばれたのか嬉しいのか
頬を染めながら嬉しそうだった。
「今、返事したよ。中に入れてもらっても
構わないかな?
ここだと誰が来るか分からないし」
「は、はい。どうぞ…散らかっていますが」
部屋に入っていいか尋ねたら中に通してくれた。
だが、入ろうとした瞬間、結界の気配に気づいた。
おっと、いけない。忘れる所だった!
すぐに結界を解くお経を唱え始めた。
危うくゆいかちゃんだけ
入って来られない所だった。
「よし。これで入って来られる。
また、後で結界を張り直すから心配するな」
中に入ると腰を下ろした。
ゆいかちゃんは、お茶を淹れている彼女のそばから
離れず引っ付いていた。
ひよこみたいで何とも可愛らしい光景だろうか。
「お構いなく。それより本題だけど
ゆいかちゃんが事故に遭った日の事を覚えているよな?」
「はい。…忘れる訳がありません」
重い口調で答えるまどか。
それは、あの日から始まった。
「ゆいかちゃんは、物心がついた頃から
霊は、見えていたんだ。
外に出れば、幽霊に出会うから怖がってね。
だから君に一緒に来て欲しがっていた」
「………。」
まどかは、黙り込んだ。
幽霊とかよく理解が出来ない頃から見えていたら
それは、恐怖だろう。
俺は、まだ教えてくれる人がそばに居たから
良かったけど……。